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僕たちは分かりあえない【タイ・チェンマイ編】#11

by 佐田真人|Masato Sata

旅とは出会いと別れの連続である。

こんな言葉があったようなないような、何れにしても手垢がついた言葉なのは確かだ。この5日間一緒だったルームメイトたちは、それぞれまた別の場所へと旅に出る。

その中でも一番話した中国人のジェジェは、明日、バンコクからインドへと飛ぶらしい。「またインドで会おう!」そう言いながら互いに握手を交わした。

昨晩散歩しながら話した彼との会話を思い出す。異なる文化背景を持つもの同士が話すと、やっぱりおもしろい。

道中にあった換金所を見て、「あの国旗はどこの国のだ?」と尋ねる。

「スコットランドじゃない?確か英語で、、スワジランド!住民の独立投票を行ったけど、結局僅差でイギリスから独立できなかったんだよ。」

するとそれを聴いてジェジェは、突然大笑いしながらこう言った。

「住民が投票できるの!?嘘だろ??そんなのあり得ないよ!!中国じゃ決まったことが降りてくるだけだから、投票なんてあり得ないよ。。なんでも決めるのは上さ。」

確かに中国はそんな気もしたが、実際のところどうなんだろう。ジェジェの感覚がわかるようで、やっぱりわからなかった。

ただ住民が投票できることの大切さを、改めて思い出させてくれる会話だった。




日本人と韓国人と中国人が揃うと、必ずどこかのタイミングで政治の話になる。中国にいたとき、あまり良い思いをしなかったこともあったので、やっぱり今でも多少は構えてしまう。

でもそんな心配は、全く入らなかった。

「国は国、僕たちは僕たちだ。こうやって笑って話せてる、それだけで十分さ。チェンマイに乾杯!」

昔、中国に留学していたときに、ふと腹落ちした瞬間があった。僕たちは到底分かり合えない。到底分かり合えないのだ。

冷めているのかもしれない。でもまずはこれを自覚することから、全てが始まる気がする。

分かりあえないからこそ、分かりあえないなりに、分かりあおうとする。その姿勢が大切なんだと、改めて思い出させてくれた。

ルームメイトと集まる最後の夕食は、気づけば日付を超えていた。


佐田真人|Masato Sata
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