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深く沈んだ空が淡く染まり始めるまで【ミャンマー・バガン編】#24

by 佐田真人|Masato Sata

早朝4時、車内のライトと流れ始めたそこそこボリュームの大きい音楽で目覚める。バスから降りるや否や、ドライバーたちが「どこへ行くんだ?」と声をかけてきた。


「ちょっと眠いし、頭痛いからちょっと待ってくれる?一旦あそこに座らせて」

ドライバーは「オーケーオーケー、で、どこ行くんだ?」と全く離れようとしない。

「わかったから一旦座らせて。そんで水飲んでから話そう。」

地面に腰掛けて水を一口飲むと、いつの間にか6人のドライバーに囲まれていた。


「オッケー、まず知りたいんだけど、ここから中心街まではどれぐらいかかるの?」

「だいたいタクシーだと10分、バシャだと20分ぐらいだ」


「え、バシャってあの馬車?安いのはどっち?」

「そうさ、馬車さ。ホースだよ。安いのは断然馬車さ。馬車でいいだろ?行こう!」


とにかく彼らは早く僕を連れて行きたいらしい。

「ちょっと待って、どう考えてもまだ早いでしょ!WiFiiのあるところにいきたいんだ。」

「中心街にカフェがあるからそこにWiFiがある。そこに連れて行くよ」


「絶対この時間に空いてないでしょ。まだ暗いし」

「じゃあ先に遺跡のサンライズを見に行くか?」

「(お、その手があったか!)それいいね!そうしよう!じゃあ馬車で!」




そこから街灯のない夜道を、馬車に揺られながら進んだ。人気のない夜道をおじさんと二人でいるのは怖かったが、星空を眺めていると、そんなことはどうでもよくなった。

「さあ、着いたぞ。パゴダ(仏塔)だ。日の出までまだ早いから、塔の上で寝ときな!」

そう言ってパゴダの管理人らしき人を呼びに行ってくれた。暗闇の中、一瞬どこにあるのかわからなかったが、上を見上げると確かにパゴダが近くにあるのが見えた。

パゴダの上で仰向けになって寝るなんて、全く想像してなかったけど、これめちゃくちゃ贅沢なことなんじゃないか。

「絶対ここで待っててよ!」そうおじさんに伝え、早足でパゴダに向かう。

パゴダの中は思った以上に狭く、バックパック2つ抱えて登るには無理があった。暗い塔内をライトで照らしながらゆっくりと登る。

登った先に見えたのは、無限に広がる星空だった。ややきつめのコントラストのせいか、まだはっきりとは見えないが、かすかに星空に照らされた遺跡群が見える。

ああ、なんて綺麗な景色なんだろう。ここに来てよかったと心から思えた瞬間だった。

素足で大地を噛みしめながら、ただひたすらぼーっと夜空を眺めた。絶景は誰かと一緒に見たいなんて思っていたけれど、この景色だけは一人で見れてよかったなあなんてことを思う。

日の出まであと一時間ちょっとぐらいかな。それまでは一人、この星空を堪能するとしよう。




p.s. バガンの夜空と朝焼けのグラデーションも、最高に美しかった。

気球はちょっと遠かったけどね。


佐田真人|Masato Sata
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